内容(「DVD NAVIGATOR」データベースより)
人気作家・群ようこの原作を、『バーバー吉野』の荻上直子監督が小林聡美主演により映画化。フィンランドのヘルシンキで「かもめ食堂」を経営する日本人・サチエの前に、ある日ミドリとマサコが現われ、店を手伝い始める。※一般告知解禁日:8月1日
隣の畑は青い、いや、違う。となりの芝生は青いのだ。私自身、その青さには、たじろいだことは少なくない。そばを頼んだときに、母親の食べているカツ丼がうまそうに見えたり、つまらない本を読んでいるときに階下でテレビを見ている両親の爆笑が聞こえたり、就職せずに留学しようとおもって実家でバイト生活をする自分と、自立してかっこよく見える正社員な元同級生たちなどなど。枚挙にいとまがない。
大抵、よく見えるのだ。外、って。
そんなこんなで、自分ばっか苦労してるようにおもったりなんだりして負のスパイラルに落ちてしまったときには、おそろしいくらいにじみ出しちゃったりしている。負け犬オーラ。
でも、意外と、大差がなかったりする。カツ丼を食べれば、ラーメンにしときゃよかった。テレビを見ていれば、本を読んどきゃよかった。正社員になれば、苦労が多くて、こいつは俺のやりたかったことじゃない、なんていいかねない。少なくとも、自分にとっては、それがリアルな気がする。
反面、どの道選んでもおいしさがあったりする。ラーメンもうまいし、本を読むときの興奮もあれば、時間があることは悪くなかったりする。ぬるすぎて出られないこともあるけどね、あいたたた。
その点、かもめ食堂は、すっごくよく見える。うらやましいなぁ。フィンランド行きてぇなぁ、なんておもったりなんだり。でも、フィンランド行っても、変わらないのだ。きっと青いのだ、隣の芝生。
彼女たちはフィンランドにいるから、うらやましく見えるのかもしれないけれど、それだけじゃない。小林さんのやさしくて凛とした美しさも、もたいさんの演技に流れるゆったりとした時間も、片桐さんの行き当たりばったりにみえる自由さも、フィンランドの背景じゃなくても見えただろう。彼女たちの、他の作品をみればわかるだろう。
いまここじゃだめだと、ここが自分をダメにしてる、っておもいたいときもあるだろうけれど、きっとそんなことはなくて、自分をだめにしてるのはだれでもなく自分な気がするのでした。
まえから気になっていたので見てみた。
「バーバー吉野」のほうがすきかな。
みんなお金持ち、なんだもの。
生活を描いているようで、お金という概念がすっぽり抜け落ちているように見えるのです。かなしい人も出てくるけど、舞台がユートピアや、切り離された社会に見える。
「バーバー吉野」のほうが、幸福について、お金から切り離されない地点で描いているような気もしなくない。
ただ、経済とか、そういう流れにとらわれてないところが、この映画のいいところだともおもう。
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