バーバー吉野 スペシャル・エディション
2007年11月1日 映画Amazon.co.jp
山々に囲まれた田舎町。そこの小学生たちは皆、額の上で前髪をピッチリそろえたおかっぱ頭“吉野ガリ”で100年以上も統制されており、町の床屋「バーバー吉野」のおばちゃん(もたいまさこ)はそのヘンテコな伝統をかたくなに守っていた。しかし、ある日東京から転校生が現われ、吉野ガリのヘンテコさを指摘したことから、町は一大騒動へと発展していく…。
PFF出身の新鋭・荻上直子監督の長篇劇映画デビュー作。大自然の中、まるで修道士のように映る少年たちの思春期の始まりをみずみずしく捉えながら、悪しき(?)伝統と対峙していくコメディー映画である。ご想像の通り、もたいまさこが何とも言えない味わい深い怪演を見せてくれている。元少年だった立場の者からすると、劇中の少年たちはどことなく女性の視点で神格化されすぎているような違和感も覚えるが、これまで男性監督が少女を神格化する作品ばかり撮ってきた映画史的事実を振り返るに、これでおあいこといったところか。透明感あふれる全体のタッチには、この新鋭監督の未来を大いに期待させるものがあった。(的田也寸志)
今日は、3まいのDVDをかりてきた。
帰宅後、ぼーっとして午前2時だったので、4時に寝るつもりで、一番みじかい「バーバー吉野」をみた。
おもしろいし、なきそうになってしまった。
ただ、わたしははなはだなみだもろく、映画の予告編でさえ涙目になるくらい私の眼球は、涙を量産しておりますので、どうか信用しませんように。
内容は、小さな村に昔からあった風習、男子はみな同じ髪型「吉野ガリ」にするという伝統が、東京から来たかっこいい髪型の転校生によって、変わっていく話。
同じ髪型の強要は、アイデンティティーの危機?
んな、アホな、とおもってしまうのが大人で、そりゃ大人はそんなもんでアイデンティティーの危機に陥っていたら生活が成り立たないもの。でも、実際、前髪けなされただけで、一日落ち込んじゃうような人もいるのが、この世界なのだ。とわたしはおもう。
かっこいい髪型。なれるものならなってみたいものである。かくいうわたしの髪は、公然猥褻こけしカットの成れの果てのように、だらしなくのびきっており、その思いは一塩である
天狗祭のシーン、わたしはお母さん、かわいそうだなぁと思って見ていた。ガキンチョ、かっこいいこと言ってるけど、吉野君のお母さんの気持ちはどうなんの。みんなの敵みたいじゃないか、「吉野ガリ」はたしかにだっさいけど、でも、自分がおかあさんだとおもったら、むねがくるしい。
でも、すぐに、自分が思いを重ねていたのは、お母さんだけじゃなく、吉野君の心情だったんだとわかった。それは、決意表明のあとの吉野くんのセリフが、ただの傍観者である自分ととっても似ていたからだ。いや、むしろ映画に引き込まれて、かれに感情移入していたのかもしれないけど。
誰かを説得しようとするのって、ホネが折れる。
その過程で、相手を傷つけてしまいかねない。それに、結局、自分の言い分に合わせて、他人をコントロールしようとしているんじゃないかともおもう。
言いたい事をそのまま言葉にするのは、むずかしくないけれど、相手に届くように、傷つかないように伝わるようにいうのはむずかしいって話なのかもしれない。でもどうだろう、そんな教訓にはまらない映画なんかな。
単なるリベラル礼讃に終わらなかったところがよかった。
星4.25くらいだとおもう。映像はわりときれいだし。こだわりが感じられて好き。生活という視点に近い。でも、外の世界が見えないし、あんまり、やさしくない人がいないから。
どこに行っても、絵に描いたような悪人っていないんだろうけど、それでも、この映像世界だけで通用するようなやさしさだったりしないかなぁ、とおもってしまうから
コメント